TOEFL・GMAT対策、MBA・LLM・大学院留学のアゴス・ジャパン横山 匡のブログ|東京大学が秋入学への移行を検討

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2011/07/26

東京大学が秋入学への移行を検討

先日、新聞で東京大学が将来的に入学時期をこれまでの4月から秋に変更することを検討していると報じられた。

この件で、先日取材を受けました。どうやら、取材はMBAnoWAのアドバイザーとして並ばせていただいている石倉洋子先生からUCLA同窓会会長の(ハーバード生を迎えての高校生向けサマースクール企画のアドバイザーでもご一緒させていただいている)黒川清先生に行き、黒川先生からわたしが紹介されたという経緯だと記者の方から聞きました。まず、このようなつながりで取材を受けることになったことを嬉しく感じます。

本来アゴスの代表と言う観点から語るのが日本流なのでしょうが、黒川先生からつないでもらった機会ということもあり、取材ではきわめて留学推進者としての個人の考えで語らせていただきました。アゴスの広報はもしかするとひやひやだったかも知れませんが、おそらくきわどい部分はカットされると思います。(笑)。

いずれにしても約1時間話した中身が全て取り上げられるとも思えないので、ポイントをまとめて今回東大が世間に提供したこの話題に対してわたしなりに思うことを整理してみました。

まず、今回の最大の問題提議は、秋入学がプラスなのかマイナスなのか、ということより、大学、企業、その他の団体、そしてそこに属する全ての個々が「自分たちはどう捕らえ、どう考え、何をすべきか?そしてなぜ?」を真剣に考えるきっかけを与えてくれたことにあるのだと思っています。

そこで、おそらく各方面の専門家の方々がすでに取り上げているものも含めて、「影響の出てくるポイント」を10個ほど整理してみました。

1)秋入学の意味
まず、秋を意識したということで、主に欧米のカレンダーとそれに準じている国々を想定した国際化と言うことだろうと思いますが、生徒、教授、職員それぞれの送り出しと受け入れと言う面でのメリットとデメリット、そこから派生する制度や風土の変化などを考える必要が出てきます。個人的には、生徒の送り出し、受け入れ、教授陣の交換制度などがしやすくなると言う以外に、入学審査官や留学生アドバイザーと言う事務方と呼ばれる役割の方々が海外で経験を積む機会を持つことで、日本の大学職員の専門性が高まることを期待しています。ローテーションによるジェネラリスト育成は否定しませんが、専門性が育ち、キャリアの意欲が増すような機会が事務方、学校運営サイドの方々にも提供しやすくなるきっかけとなればと期待しています。

2)入試時期を変えないことの影響 
秋入学と言うことで、入試時期を例えば春以降にずらすと、他校の4月入学生がその後東大に乗り換えてくる可能性も出てくるので、混乱を避けるには入試、合否発表、入学の意思決定の時期に変化無しと言うのは今の段階では混乱が少ないと思います。同時に、受験準備期間を後ろ倒ししては、せっかく生まれる3月から9月頃までの「ギャップイヤー」的な半年間が「長引いた受験準備期間」になってしまうだけですからこれはよかったと思います。

3)企業、官庁の採用パターンへの影響
おそらく一番影響が出るのではないかと思い、期待もしているのがこのポイントです。3月卒業、4月入社が日本全国のスタンダードであるなかで、例えば秋入学で欧米のように5-6月卒業と言うことになれば、採用側も採用方法を再検討しなければならなくなり、そこから各企業の工夫が生まれると言うこと自体が今回の問題提議で生まれる刺激だろうと思います。

終身雇用と年功序列の時代に機能していた大手の採用活動効率を優先した今のパターンは完全に崩れないまでも、少なくとも東大生の採用と言う別枠の対応は考えていかざるを得ないのではないかと思います。だから「東大」でないといけなかった、そして「秋入学でも良い」ではなく「秋入学に移行」でないと社会的効果の薄い今回の問題定義だと感じています。そもそも中小企業は来月欠員が出ればすぐ採用、と言うのが現実ですから、15ヶ月先の採用内定なんて出来ません(笑)。いずれは、各企業や団体が好きなときに好きなように必要な採用活動をするようになればいいのだと思います。ちなみにUCLAのバスケットボールマネージャー時代の経験では、優秀な選手は高校生はもちろん、中学生でもスカウティングに行きます。すでに2013年の入学をコミットしている高校生もいるくらいです。

卒業3年以内は新卒扱い、というのも欧米の教育者に説明するのに苦労します(笑)。新卒と中途という「Status(身分や状態)」で分けなければいけないこと自体が段々となくなっていくのではないかと思います。将来性を見込んで、新たなエネルギーを求めて、生え抜きで育てて行きたい先入観の無い人材が欲しいなら新卒を取ればいいので、「新卒」または「中途」でなければいけないという、「状態」が条件である必要性は個人的には感じていません。

ただ、こうなると、「じゃ~大学時代にある程度社会人として機能できる準備をして来い」と言うことになるので、学生の自主性と大学のカリキュラム、課外活動の有り方に影響が出てきます。あとは、「何年入社」というようなことも「同期の仲間意識」という心のつながり以外では人事制度のクライテリアとしては必要性がなくなってくるのではないかとも思います。

4)就職活動への影響
採用側と反対側にいる就活生も、考えることが増えてきます。今回は東大生だけの話になりますが、「高校卒業から入学までの間のギャップ」はもちろんですが、「卒業から入社までの間の時間の使い方」をデザインする必要が出てきます。今後採用側が「秋採用」を増やしていくのであれば選択肢は増えますが、その場合でも「秋採用の企業から選ぶ」のか「春まで待って春採用企業を目指すのか」もあるでしょうし、後で述べますが、この学期制度と入学時期の変更で、夏の過ごし方が変わることも個人的には期待しているので、秋入学でも春卒業と言うパターンも考えられるのではないかと思います。その場合でも、夏にも単位が取れるようにして4年弱で卒業する人がいても、他の活動をしながら5年弱で卒業する人が出てきてもいいのではないかと思います。

5)他の大学への影響
すみません。取材のときに「それは各大学が考える機会をもらったと言うことで各大学が考えれば良いことで、特にどう考えるべきと言う意見は有りません」と言いました。秋入学に足並みをそろえる大学があってもいいでしょうし、春のまま行くのもよしです。ただ、大切なのは、「選んで覚悟」という、選択への責任の持ち方で、「なぜ?」を議論、納得、共有しての決定であること、が一番の課題だと感じます。

6)高校卒業⇒大学入学の半年(ギャップイヤー)のデザイン
これは、アゴスのような大学、大学院進学指導の学校には大きな影響は無いですが、語学留学などを斡旋している留学エージェントに取ってはとても大きな追い風になります。個人的には、アメリカの大学の約2割が導入している Quarter system (夏を加えた4学期制)への留学が効率的になってくると考えます。これらの学校は春学期が3月から6月。サマースクールが6月から8月と、この半年のギャップイヤーにあてはめやすい日程なので、カリフォルニアやワシントン州のように多くの大学がこの学期制度を組んでいるケース、または2-3ヶ月単位で学期を組んでいる語学学校や大学付属の語学プログラムなどへは留学しやすくなると思います。ただし、現状のように、夏は7月下旬まで授業があるというままだとこのメリットは生まれてきません。あとは、後で述べますが、海外のサマースクールに行きやすくなるのは大きなメリットだと思いますが、これも7月まで授業があると言う現状のままだと実現しない幻のメリットになってしまいます。

7)卒業時期の検討  
ではアメリカのような5-6月卒業、または今の前期と後期がひっくり返るならば7月下旬の卒業となった場合卒業生はどうするのか?また、企業、および多くの東大生が就職している官庁はどうするのか? または、卒業時期は選択可能にするのか?などはきっと課題であがってきますね。これはわたしが深堀りするより、もっとこのようなテーマに身近な人達の考察を参考に見て行きたいと思います。

8)学期制度の見直し
実はこれが、わたしから見ると大きなチャンスでありいろいろな選択肢が考えられることだと思っています。秋入学の場合、大きく分けて、今のような前期、後期、というやりかたを続けて、秋を前期にすることもありでしょう。その場合7月に後期が終ることになります。しかし、もしある程度欧米型のスタイルへの適合を意識するのであれば、Semester(2学期+夏)またはQuarter(3学期+夏)という学期制に基づく単位取得数による卒業時期の選択、というスタイルの導入があると面白いと思っています。

これにより「何年で卒業」ではなく、「単位が揃ったら卒業」と言うことになるので、夏学期が生まれれば単位を稼ぎたい人はそうすればいいですし、学費を稼ぎながら5年、またはそれ以上かけて卒業したい人もそうしていけばいいので「留年」と呼ばれるような、なんとなくネガティブな考え方も払拭していくのが良いのではないかと思います。わたしもUCLAはバスケの遠征続きで単位もそろわず、5年も愛校心に満ちて在籍しましたが(笑)、5年も社会人デビュー前に練習、準備が出来たと思えばプラスに考えています。

9)東大生の海外サマースクールへの参加チャンス拡大
実は昔からこれはやりたかったことなのですが、例えばアメリカには日本の大学生に参加を検討して欲しいサマープログラムがたくさんあります。しかし、それらはほとんどが6月開始であるため、日本の大学生は参加が出来ない場合がほとんどです。それが可能になれば、いろいろな国から集まる優秀な学生と同じ場で学ぶ機会はぐんと増えることになります。1年の交換留学もよし、大学、大学院留学ももちろんよし、です。しかし「夏だけなら」とか「夏だけでも」という留学を検討できるようになれば、「検討する」から「行動する」割合は増やせると思いますし、そんなプログラムのデザインはいくらでもアドバイスできると思います。個人的には、入学前のギャップイヤーとともにこのポイントにとても期待しています。

例えばこんなのは面白いと思うんですよね~。3つだけ紹介します。
Stanford Business School Summer Institute
社会人になってからだと数百万円かかる executive education の大学生対象バージョン

Washington Semester Program Summer Internship
政治の中心、首都ワシントンDCで学び、体験する夏のインターン

Semester at Sea
船で世界を周りながら大学の授業を受ける。 自分の学生時代に知っていたら行きたかった(笑)。

10)本格的なインターナショナルサマースクールの運営に期待
そして最後の10個目のポイントは、近い将来、東大が世界から優秀な学生が集まるサマースクールを運営するようになることを期待しています。インターナショナルサマースクール@東大です。日本に1年、または4年来ない人でも夏だけなら来たい人もいるでしょうし、夏なら世界の各地で教えている教授も来易くなります。志し高い留学生と教授陣を招いて、東大生、または一般公開してのサマースクールが展開できれば、と期待したいところです。ただし、これにはいくつかの課題があります。
   ・教える教授陣の確保(英語で教えられる指導者の育成、確保)
   ・海外から教授を招集する場合の報酬、経費、その他「来たい」と思わせる理由付け
   ・サマースクール運営部隊(事務局)の人材育成、確保
   ・そもそも外国の学生に自腹でも「日本に来たい」と思わせるカリキュラムや滞在施設含む環境の整備

ざっと思いつくのがこんなところですが、また議論が進んでいく中で気がついたり、刺激を受けて考え直すこともあると思いますが、まずは、このニュースを聞いて感じた直感からいくつか紹介させていただきました。

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